おそうじ豆知識をご覧いただきありがとうございます。イルカマークのおそうじ屋さん、新谷です。
前回はおそうじ以外にもさまざまな特性を持っているとっても便利な万能洗剤「重曹」についてご紹介しました。
今回はそんなナチュラル洗剤の中でガンコな汚れに効果を発揮する「セスキ炭酸ソーダ」をご案内したいと思います。
キッチンまわりの軽い汚れには重曹が便利ですが、酷い油汚れには「セスキ炭酸ソーダ」が向いています。
ガンコ汚れに強い「セスキ炭酸ソーダ」の特性を知り、汚れにあわせて上手く使い分けましょう!
◇セスキ炭酸ソーダとは
別名セスキ炭酸ナトリウムとも呼ばれ、液性は弱アルカリ性で重曹よりもアルカリpH値が高いぶんキッチンなどの油汚れに威力を発揮します。また衣類についた血液を落としてくれる効果があり、水に溶けやすく皮脂を分解する働きがあるため洗濯用洗剤としても知られています。ほかにも食洗機用洗剤に使ったり、おそうじ以外にも幅広く使用されています。洗浄力があるのに手肌にやさしいのもセスキ炭酸ソーダの魅力です!!!
◇セスキ炭酸ソーダの特性
1油汚れを落としてくれます。
セスキ炭酸ソーダの液性はpH値10の弱アルカリ性です。ガンコな油汚れや皮脂汚れを落とす効果があり、水に溶けやすいのでスプレー容器に入れてセスキ水スプレーとして使用すると便利です。※スプレー液として使用する場合、作り置きせず1週間程度を目安に使いきるようにして下さい。注)畳、白木など表面加工されていない木質系素材、革製品など水が染み込むものや水拭き出来ないもの、銅、アルミ製品、真鍮などアルカリで腐食する金属、漆塗りの食器や調理器具、金線、同線、上絵付き食器には使用しないで下さい。
〖レンジフード、換気扇のおそうじに〗
ベトベト汚れのレンジフードや換気扇に水に溶かしたセスキ炭酸ソーダをスプレーし、しばらく置いて汚れが浮いてきたらウエスで拭き取ります。(このとき使わなくなったボロタオルや要らなくなったTシャツなどを小さく切って使い捨てウエスとして使用するとその後の水拭き、仕上げ拭きがラクになるだけでなく作業時間も短縮されます)汚れが酷いときはスプレー後の放置時間を長くしたり、乾かないようラップを貼ったり、キッチンペーパーに浸したり、スプレー洗剤の濃度を濃くしたりして工夫して下さい。浸け置きできるものはお湯にセスキ炭酸ソーダを溶かして浸け置きして洗うと早くキレイに仕上がります。
〖コンロ、グリル、オーブンのおそうじに〗
油で汚れたコンロ、グリル、オーブンも同様にして洗います。五徳や油受けなど取り外せれるパーツはセスキ炭酸ソーダを溶かしたお湯に浸け置きしてスポンジなどで擦り洗いすると早くキレイに仕上がります。汚れ度合いにあわせて浸け置きする時間や希釈濃度を調整して下さい。
〖調理器具、プラスチック製品のおそうじに〗
油で汚れた調理器具やプラスチック製品にもセスキ水スプレーは効果を発揮しますが、あまりに油汚れでベタベタしているときは前処理として使い捨てウエスなど拭き取って下さい。ベタベタ油汚れに無機物洗剤をいきなりスプレーすると酸性石鹸の固まりができて違ったベタ付き感が起こるときがあります。ベタつき汚れの酷いものはお湯にセスキ炭酸ソーダを溶かして浸け置きしてから洗うとキレイに仕上がります。
〖ステンレスのくもり取りに〗
大きな鍋に水3ℓに大さじ1のセスキ炭酸ソーダを入れ、ステンレス製のザルやしゃもじ、茶こしなど入れて一旦沸騰させます。その後、スポンジやブラシで軽く洗うだけでピカピカ仕上がります。注)銅、アルミ製品には使用しないで下さい。表面が溶けて黒ズミます。
2皮脂汚れを落としてくれます。
お部屋のドアノブ、スイッチプレートといった皮脂汚れの目立つところにもセスキ炭酸ソーダは活躍してくれます。汚れ箇所に直接スプレーするとかけたところだけがキレイに抜けたり色落ちしたりすることがあるので水を湿らせたウエスにスプレーして汚れ箇所を拭いて下さい。この後、すすぎの水拭きを繰り返し、仕上げの乾拭きして下さい。※軽い皮脂汚れには重曹水拭きをオススメいたします。注)セスキ炭酸ソーダの希釈濃度を濃くし過ぎると家具表面のクリア塗装やプラスチック表面が溶けて剥がれたり、ムラになったりすることがあります。必ず目立たないところで試してから使用してください。
3食洗機用の洗剤として
食洗機用洗剤としても知られています。使用する場合は小さじ1~2杯を目安にして下さい。汚れの酷い食器はあらかじめ水洗いしてからご使用ください。
4衣類の洗濯用洗剤として
衣類についた皮脂やタンパク質を分解してくれるので軽い汚れならセスキ炭酸ソーダが最適です。水に溶けやすくすすぎも少なく済むので環境にやさしいだけでなく洗剤の溶け残りや洗剤かぶれが気になる方も安心してご使用になれます。血液汚れやワイシャツの襟や袖といった目立つ部分汚れにはセスキ水スプレーをしてしばらく置いてから洗濯するとキレイになります。洗濯物の量や汚れ具合にもよりますが水30ℓに対してセスキ炭酸ソーダ大さじ1杯程度入れ、ひと晩浸け置きして洗うとより効果的です。
◆セスキ炭酸ソーダが得意な洗濯物
・皮脂やタンパク質、油脂など軽い汚れ、血液汚れ、手アカ汚れなど一般的な洗濯物の軽い汚れ
◆セスキ炭酸ソーダが苦手な洗濯物
・スポーツしたあとの激しい汗汚れ、泥汚れ、機械油や厨房油などの業務用油汚れなどガンコな汚れ(本格的な汚れには洗濯用洗剤をお使いください)
・シミや黄バミ汚れ(シミや黄バミには酸素系漂白剤または塩素系漂白剤をオススメいたします)
注)衣類の種類によっては色落ちすることがあります。目立たない部分で試してからご使用ください。またシルク、ウール、麻、化繊・化繊混紡、ポリエステル、ナイロンなど、浸け置きに向かない素材があります。必ず衣類の表示を確認してください。
◇セスキ炭酸ソーダの使い方
➀水に溶かしてセスキ水スプレーとして使用
使いたいときにすぐ使えるようスプレーにしておくと便利です。キッチンまわり、ガスコンロ、グリルの油汚れ、ワイシャツの襟や袖の皮脂汚れなど、スプレーにすることで用途が広がります。(用意するもの:水500ml、セスキ炭酸ソーダ小さじ1~2杯、スプレー容器 作り方:分量の水とセスキ炭酸ソーダを溶かしてスプレー容器に入れます)
➁水やお湯に溶かして浸け置き洗剤として使用
油汚れの酷いものを早くキレイにするために浸け置き洗剤にしたり、衣類についた血液汚れを落とすために浸けたりもしますが、汚れ箇所を直接セスキ水ウエスで拭き上げたいときなどにもバケツに水5ℓとセスキ炭酸ソーダ大さじ1杯程度溶かしたセスキ水をつくり、ウエスの絞り洗い用として使用しても便利です。
③そのまま粉として使用
すぐ溶けるので湿らせたスポンジにかけてこすり洗いしたり、汚れ箇所に直接かけてブラシ洗いしたり、すすぎ洗いできるものには直接かけて使用したりします。(穴のあいた容器に移して使うと汚れに直接かけやすくなりムダ使いもなくなります)
◇使用上の注意
セスキ炭酸ソーダは弱アルカリです。ガンコな油汚れを落としてくれキッチンまわりのおそうじに大活躍してくれますが、希釈濃度を濃くし過ぎて使い方を誤ると大変なトラブルになってしまいます。ワックスの効いたフローリング床面にうっかり使うとアルカリ成分がワックスを溶かし剥がしてしまったり、畳に使うと黄色く変色させてしまったり、白木や木質系素材に使うとシミになったり、アルミ、銅製品に使うと表面が溶けて黒く変色してしまいます。他にも漆塗り品や革製品など水が染み込むものや水拭き出来ないものには使用しないで下さい。
◇まとめ
環境にも人にもやさしいナチュラル洗剤なのにガンコな油汚れをしっかり落としてくれるのがセスキ炭酸ソーダの特長です。このように油汚れや皮脂汚れを落とすのに長け、タンパク質も分解する、しかも水に溶けやすくすすぎも少なく済むことから無機化合物洗濯用洗剤としても知られています。炭酸ナトリウムと呼ばれ無機化合物なため、入浴剤の成分としても配合されています。
※3回にわたり代表的な三種類のナチュラル洗剤(クエン酸、重曹、セスキ炭酸ソーダ)についてご紹介いたしました。次回はそれぞれの違いと組み合わせて使うとよりパワーアップする賢コツをご紹介したいと思います。お楽しみに!